Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

國永 孟

英国

チャンスは自分で掴み取るもの

國永 孟さん

人文学部人文学科
留学期間:2016年9月 ~ 2017年6月
留学先:バス・スパ大学

留学先大学について

 バス・スパ大学はイギリス南西部のバースにあり、ロンドンからバスで3時間ほどの自然に囲まれた大変のどかな大学です。信州大学人文学部とバス・スパ大学は協定が結ばれたのは最近のことです。キャンパスはカントリー・ハウスとその敷地内にあり、周りを羊、牛、放牧地、湖に囲まれたイギリス式風景庭園の中にあります。まるで映画のセットから飛び出してきたかのような環境で学生は勉学に専念することができます。バースは、日本ではなかなか想像しにくいほど多様な人種の人が共に暮らしており、比較的治安も安定しています。留学生の数も多く、その出身地は様々で、特別視されることはありません。幾つかの学科では留学生の数が全体の半分を占めることもあるようです。バス・スパ大学は創造性のあるイギリス内の大学ランキング第4位にランクインするほど芸術系の科目が充実しており、演劇、音楽、映像制作、メディア研究など人文科学を中心とした幅広い分野を学べます。才能のあるたくさんの学生とともに勉強することで、切磋琢磨しあいながら一年間過ごすことができました。

 

学習面について

 イギリスの大学の一番の魅力はなんといっても教育の質の高さです。教師一人当たりに対する学生の数が少なく、学生に対するケアがしっかりしています。チュートリアルと呼ばれる学生一人、教師一人の時間が多く確保され、研究の質を高めます。またすべての授業は講義と演習で構成され、講義で学んだ課題に対するディスカッションが毎回求められます。そのため学生は積極的に授業に参加し、講義では一瞬の油断も隙も許されません。イギリスの大学は3年間で学位を取らなければならないので一年生から専門教育が課されます。同じ科目の授業は一年間続き、毎週資料探しやリーディングが課され、もしやり損ねると演習には全くついていけません。そんな生活を一年間続けると、留学を終えた頃には立派な研究者の一人になっています。僕が受講した科目は留学生の数もそれほど多くなく、全体人数15人前後、留学生数2〜3人程度の小規模クラスで、教師や学生同士の関係を積極的に築くことができました。そのおかげで聞き取りにくいイギリス英語のアクセントも早い段階で慣れることができました。

生活について

 バス・スパ大学に留学する学生はキャンパス内にある寮で生活します。一人部屋か二人部屋がそれぞれ割り当てられ、キッチンとバスを約5~6人の学生と共有します。常に誰かと顔をあわせるので、日本人学生がほとんどいない寂しさを感じる暇もありません。私は留学期間中日本人学生に一人も遭遇しませんでした。食事といえばイギリスは良い意見はあまり聞きませんが、留学生は自炊をし、物価も日本と同程度か少し高いぐらい、アジアン・スーパーマケットもあるので問題ありません。私はむしろイギリス料理ばかり外食時に食べていました。

 バースの街は一世紀頃からテルマエと呼ばれるローマ式温泉地として栄え、18世紀には中・上流階級の人々が社交の場として訪れた保養地であり、非常に長い歴史を持っています。その為歴史的建造物も多くたくさんの観光客が訪れます。その為街中では大道芸人や音楽フェスティバルなどのイベントも多く行われます。同じクラスの友達と授業終わりにパブに行き、授業について語り合いイベントを楽しむという、日本では全く知らなかった学生生活の一面を垣間見ました。またイギリスにはたくさんの公園があり、イングリッシュ・ガーデンやナショナル・トラストが管理する地域が存在します。そのため週末には多くの人がハイキングや、サイクリング、カヌーなどのアウトドア・スポーツを楽しんでいます。バースへこれから行く方は是非自分なりの楽しみ方を見つけてください。

留学で得たこと

 私は信州大学からバス・スパ大学への交換留学生第一号だったので何から何まで自分自身でやらなければなりませんでした。その為問題に数多く遭遇し、渡英2週間ぐらい前まで本当に留学できるかどうかもわかりませんでした。しかしそれによって多少のことでは動じなくなりました。

 イギリスはとても多様な国です。旧植民地やその他の国からの移民が多く住んでおり、また留学生の数も多い為文化的にとても多様です。それは良いことでもあり、問題に発展することでもあります。日本で大学生活を送っていても気づかないこともたくさんあります。さらに人種的背景は多様で、日本人同士では通用するルールもここでは全く役に立ちません。そのため留学当初はカルチャー・ギャップ、強いホームシックを経験しました。そんな中でどう自分が変わっていけば良いか考え、これまでの自分を見つけ直すよい機会になりました。

 今回のイギリス留学では、英語、専門教育、日常生活の側面の全てが充実した濃い時間となりました。楽しいことばかりではありませんでしたが、そこで得た経験を日本での学生生活や進路に生かせればと考えています。

後輩へのアドバイス・知の森基金へ一言

 今回のバス・スパ大学留学に当たり信州大学「知の森基金」から経済的援助をしていただきました。前例が無い中での留学でしたので、ビザの申請や現地での生活など必要以上のお金、時間、労力を使ってしまったかもしれません。そんな中無事1年の留学生活を終えることができたのは偏に「知の森基金」の援助があったからこそだと思います。

 これからバス・スパへの留学を考えている方にとって治安の面で考えるとイギリスは最高の留学先と言い切るのは難しいかもしれません。しかし留学経験はそういったリスク無しには中々得られません。皆さんが長年親しんできた環境を一度飛び出して、自分に挑戦してみませんか?

 最後になりましたが、留学準備初期の段階から右も左もわからなかった自分を助けてくださった伊藤先生、護山先生を初めとする人文学部国際交流員会、人文学部学務係、知の森基金関係者の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。